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【2022年度共通テスト日本史編】傾向と対策

今回は共通テスト1日目の1月15日(土)の時間目に実施された日本史について、2021年度と比較もしながら傾向を見ていきたいと思います。

まずは2022年度共通テスト日本史の情報をおさらいしていきましょう。

2022年度共通テスト日本史概要

実施日:令和4年1月15日(土)

時間割:1・2時間目

開始時間:9時30分

制限時間:60分

配点:100点

問題構成:出題形式は昨年と同じ。大問6題からなる構成で、配点にも変化はなかった。

第1問

小問数6問のうち、正誤を組み合わせる問題が3問、空欄補充問題、2つの文から正誤を組み合わせる問題、年代整序問題が、それぞれ1題ずつ出題された。第1問は昨年度同様、会話文形式での出題だった。図・表や会話文の読み取りが求められる問題が出題された。

問1 空欄に入る文の組合せを選択する問題。アは、会話文やメモから判断できる。イは、平民に苗字を名乗らせた理由が「近代国家の国民として把握する」ためであったかどうかを判断できなくても、明治初期には「華族・士族・平民の身分を撤廃」したのではなく、これらの族籍が新たに設けられたことを認識していれば、消去法で解答は導き出せる。

問2 人物が抽象化されているため、やや判断が難しかったかもしれない。Xは源義仲、Yは足利持氏について述べた文章である。

問3  IIIの「ウィリアム=アダムズ」が徳川家康の顧問、Iの「近松門左衛門」が元禄文化期の文化人、IIの「江川太郎左衛門英竜」が幕末期の人物、というように、大まかな時期を捉えていれば、正答は導き出せただろう。

問4 嵯峨天皇を中心とする略系図を用いた問題。a・bの判別は「嵯峨天皇」の時期を中心とする、弘仁・貞観文化の基本的な知識があれば対応できたと思われる。

問5 表を用いた2つの文の正誤を判断する問題。X「アメリカ・イギリスに宣戦布告」したのは1941年。Y「天皇の代替わり」とは、1926年。基本的な年代を把握しておくことが前提とされる問題だった。

問6 a・bの判断はやや悩んだかもしれないが、ヒントは会話文・メモ・図の中にあった。c・dの判別は、基礎的な知識があれば、容易だったと思われる。

第2問

小問数5問のうち、正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、年代整序の問題がそれぞれ1問ずつ出題された。昨年度は見られなかった年表を用いた形式の問題だった。年代整序の問題では、史料を並べ替える問題が出題された。

問1 「遣隋使」が倭の五王以来の中国への遣使であったこと、「曇徴」が高句麗僧だったことを認識していれば、判断できる。

問2  8世紀は天平文化期(奈良時代)、9世紀は弘仁・貞観文化期(平安時代初期、年表に「弘仁格式」「貞観格式」とあり)であるため、文化史に関する基本的な情報を把握していれば、正答を導けただろう。

問3 史料にある「去年の計帳」の人数、「今年の計帳」の人数が表記されていることから、bの「計帳からは、年ごとの戸の人数の変動が分かる」は適当であると判断できる。dの「黒子の位置」は史料に表記されていることからも、「本人を特定するため」のものであったと考えられる。

問4 短文史料を用いた年代整序問題。Iが養老令、IIが憲法十七条、IIIが延喜式であるが、IとIIIの判断にやや戸惑ったと思われる。

問5 年表の「養老律令」以降、律令が編纂されていないことが読み取れるため、選択肢2の「律令の編纂は、天皇の代替わりごとに行われた」は誤りと判断できる。

第3問

小問数5問のうち,正誤を組み合わせる問題が2問、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序の問題がそれぞれ1問ずつ出題された。第3問も会話文の形式をとる問題だった。

問1 会話文からの読み取りが求められた問題。正文となる選択肢1~3は会話文にヒントがあった。選択肢4は中国の海禁政策や応永の外寇の背景などを想起すれば,「倭寇は国家権力による保護」を得ていないと判断できる。

問2 IIIは平安時代,IIは鎌倉時代,Iは戦国~安土桃山時代,であるため,判断しやすかったはずである。

問3 多くの教科書に掲載されている馬借の図。教科書のキャプションまで確認していた受験生は,すぐにどちらも正文だと判断できただろう。同様の図版は,2008年度のセンター本試・日本史Bでも使用されている。

問4 a・bは,史料1行目に「日本国使,……多く商物を齎し,銀両八万に至る」とあることから判断できる。aは誤り。c・dは,史料3~6行目を丁寧に読めば判断できる。

問5 かつてのセンター日本史Bで見られたタイプの地図問題。Xは志苔館の説明。Yは「元軍や高麗軍」から蒙古襲来を想起できただろう。多くの受験生が,北海道南部や九州北部を選択できたと思われる。

第4問

小問数5問のうち、正誤を組み合わせる問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、年代整序の問題がそれぞれ1問ずつ出題された。特筆点として、生徒のメモが素材として使われたことや、2文正誤の問題において、複数の史料を読み取って正誤を判断する形式の問題が出題されたことがあげられる。

問1 「メモ」には、「居住地が区別された」非人がいたこと、「都市では、組織に属さない『野非人』と呼ばれる人々も増加し、その取締り」が行われていたことなどが記されていた。これらを参考にすれば、「総意により運営」は誤りと判断できる。

問2  IIは「出雲阿国(出雲の阿国)」から桃山文化、IIIは「初代市川団十郎」から元禄文化、Iは東洲斎写楽から宝暦・天明期の文化について述べた選択肢だと判断できる。

問3  Xは史料1を対象とする選択肢で、正文であることは判断しやすかっただろう。Yは史料2の「天明」(18世紀の年号)を見逃さなければ、19世紀の「世直し一揆」は誤りだと判断できる。

問4 史料の読解問題。c・dの判別は、設問文の「1836年」から、天保の改革の政策を選択すればよいと判断できただろう。

問5 近世の身分と社会に関する4つの文から正文を選ぶ問題。「メモ」をヒントにしなくても、正答の選択肢1を選択できた受験生が多かったと思われるが、「メモ」には、将軍に拝謁できる者である「旗本」の語が記されていた。

第5問

小問数4問のうち、正誤を組み合わせる問題が2問、2つの文の正誤を判断する問題と年代整序問題が、それぞれ1問ずつ出題された。昨年度の共通テスト日本史B第5問は、人物をテーマとした問題だったが、今年度は会話文の形式がとられた。第5問でも、複数の史料を読み取って正誤を判断する形式の問題が出題された。

問1  2つの文X・Yと、それに該当する用語を組み合わせる問題。地名や国籍などの把握が必要であった。

問2  a・bでは史料の読解が求められたが、史料を深く読み取らないと、判断がやや難しかったと思われる。判断に時間をかける必要のある選択肢だった。c・dは、前提知識として「日清修好条規」の内容や背景を把握している必要があった。

問3 「1885年から1894年までの10年の間」と、やや短い期間の年代整序問題が出題された。ただし、日清戦争開戦にいたるまでの国際関係を把握していれば、前後関係を判断することは難しくはなかったはずである。

問4 史料の読解問題。史料文も短く、日本史に関する知識が十分でなかったとしても、史料を丁寧に読み取ることによって、正答を導くことができたと思われる。

第6問

小問数7問のうち,正誤を組み合わせる問題が2問、空欄補充問題、年代整序の問題、2つの文の正誤を判断する問題、4つの文から正文を選ぶ問題、4つの文から誤文を選ぶ問題がそれぞれ1問出題された。正誤を組み合わせる問題のうち,1問は写真を用いたものだった。史料や表から読み取る問題が計3題出題された。小問7問中,半分程度は史料・表・写真の判断を求める問題となっており,瞬間的に判断できる設問は少なく,ある程度の時間が必要だったと思われる。
 
問1 センター試験日本史Bでもみられた空欄補充問題。前後のキーワードから用語を導き出すのは容易だったはずである。

問2 読解が求められる問題だった。a・bの選択肢は,設問文・史料から1872年9月,太陽暦は明治五年(1872年)壬申十一月九日,に作成されたことが読み取れれば正誤の判定が可能であった。明治五年に戸惑ったかもしれないが,設問文の,時刻表と太陽暦が同年(1872年)に出された,という情報を見逃さなければ,正答を導くことができたと思われる。

問3  当然ながら,表を参照する必要があるが,正答を選択するためには,該当する時期の背景知識や用語の理解が不可欠だった。

問4  20世紀以降の日本の対外関係のなかで,鉄道に関わる諸政策・事件に関する6択の年代整序問題。「張作霖」「南満州鉄道株式会社」「段祺瑞」の語句に着目し,Iは昭和初期,IIは明治期,IIIは大正期と,各選択肢の時期が離れているため,正答を導きやすかったはずである。

問5 「買い出し」「ドッジ=ラインの影響」に関する問題は,センター日本史でも出題されたことがあるため,過去問を対象にして演習を繰り返してきた受験生には解きやすかっただろう。この形式の設問は,a・b(もしくはc・d)のいずれかが正文または誤文であるため,2つの文を比較して判断すればよい。

問6 提示された表2の情報だけでなく,オリンピックの開催,第1次石油危機のそれぞれの時期を把握しておけば,正答を導き出すのは容易だった。

問7 中曽根康弘内閣に関するX・Yの2文の正誤を判定する問題。基本知識で十分対応できる問題であった。

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